2020年のヒントは大阪にあり!? プロ3チームと行政が組んで目指す未来とは。


2020年にパラリンピックが日本であるので、それを成功させようと思うと、実は長居にいろんなヒントが隠されています。

舞洲にはアミティ舞洲という宿泊施設も兼ねた2つめの障がい者スポーツセンターが1997年にできました。長居で障がい者スポーツをやり始めた人たちが、スポーツが出来るようになると、大会をやりたい。大会をやるには競技団体もいるし、会場もいるということで、できたものです。色々なところから人が集まるということで宿泊施設が必要だよね、という話になり、今のような形ができたという経緯があります。障がい者スポーツの施設を日本で2箇所も持っている自治体は大阪市だけだと思います。

今ではパラリンピックで活躍するような選手たちが日々舞洲でトレーニングをやっていたり、ボッチャの競技のナショナルトレーニングセンターにもなったりしています。舞洲はスポーツ施設が揃っていますので、プロ3チームだけではなく、2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて、舞洲スポーツセンターと一緒に事業をやっていきたいなとも思っています。舞洲プロジェクト構想にある5種球技大会には、ボッチャも含まれています。

2019年にもラグビーW杯があり、日本国内でスポーツがとても注目されている時代です。実際に自分がプロスポーツに関わっている中で、民間企業さんや他の行政の積極的な協力姿勢といったものはとても感じますね。

今後の市としての関わり方

この取り組みは、民間と3クラブと行政が関わっていて、webを使って発信しているということに意味があるかなとも思っています。

関わりながらも距離を保っていく、というのは難しい側面もあります。今のところ大阪市は、メインとなって3チームとプロジェクトを作り上げています。プロ3チームとしても初めてのことですから、手探りだと思うんですよ。行政と組むということで安心感はあると思うのですが、彼らはやはり企業であるからには、利益を出さなくてはいけない。投資している以上のバックがないといけない。大阪市と組んで何の意味があるのか、地域貢献はあるけれども地域貢献だけじゃやっていけない、というように彼らも考えてしまうと思います。

ですから、このプロジェクトでは、(3チームが)出していただいている分のリターンを生まなくてはいけない。これは行政側が工夫していくべき点だと思うので、こういったところのサポートをしながら、いずれは3チームだけではなくて他のスポーツにも関わってもらいたいですね。大阪市がサポートしつつも、それらのチームで回っていくような、そんな仕組みが出来上がるといいなと思います。

そもそもなぜ大阪市がプロチームを支援して提携しているのかといいますと、スポーツに関わる人を増やしたい、スポーツをする人を増やしたいと考えているからなんです。今年、スポーツ振興計画もつくりました。政府と同様に、大阪市も市民の週一回のスポーツ実施率65パーセントを目指して色々な政策をやっていこうとしています。ですから、こういうプロスポーツチームの方と市民の方が触れ合う機会を作ることで、『スポーツっていいな』『なんかスポーツしてみようかな』と思ってもらえるようにしたいと思っています。これは大阪市としてやっている事業ですので、予算も市民の税金から出ているわけです。

だからこそ実績を上げていく必要があるので、市民の皆さんの理解も頂きながら大阪市としてもどんどんこの取り組みを広げて行きたいと思っています。当面は行政が引っ張っていかないといけないので、予算面でも関わりつつ、3チームにも資金を拠出してもらって、将来的にはこの事業に関わる民間企業さんが増えてくるといいなとは思います。

現在は大阪市と3チームでお金を出し、協議会を運営しながら、情報発信の部分とイベント、人材育成、商品技術開発の4つを動かしています。ここに大阪市が税金を投入しているのはなぜかというと、先ほども述べた通り、スポーツに関わる人を増やして、皆が健康で楽しくすごして生活してもらいたいから。つまりは市民の為にという思いがあります。それもしっかり発信していって、他の自治体が見て、『じゃあうちもやってみよう』『スポーツにお金出してみようよって』と思うかもしれないんですよ。

横浜市さんもスポーツに力を入れ始めているようですが、横浜市体育協会に事業をお願いしてやっているのであって、市としてお金は出していても直営はあんまりしていないようなんです。ではなぜ大阪市は直営でやっているのかというと、橋下市長時代に団体への運営補助はダメだと言われたことが大きいです。

体育協会が運営している事業に、中身関係なく団体で補助してはいけない。事業をひとつひとつ確認して、こういう事業をやるからそれに対して大阪市が補助できるのであれば、事業補助をしなさいと言われたんです。自治体の多くが運営補助している中で、大阪市は全てに関わっていく直営を選んでいるのにはこういった理由があるんです。

まだまだ始まったばかりですが、実際に取り組んでみて、やはり自分で関われるので直営の方が楽しいかなと個人的には思います。この取り組みを通じて、『大阪市の職員になってスポーツに関わる仕事がしたい』と思う人が増えてくれると良いな、とも感じています。


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