グッズ製作の知られざる裏側。エヴェッサ×オリックス×セレッソのグッズ担当対談

選手の活躍や結婚などで売上げも変わる!?

—グッズ担当として何か不安に思ったエピソードはありますか? 

セレッソ・浅田:私はずっと営業をしていた人間なので、2013年にグッズ担当へ異動と言われた時はかなり不安でした。2013年はチームの調子が良く、4位でリーグを終えることができたので、選手もメディアに露出する機会も数多かったので、余計にプレッシャーがありました。

セレッソのグッズ売り上げが最も良かった年は2014年です。当時は日本代表選手が多かったですし、(※)ディエゴ・フォルランという大物選手も海外から移籍してきました。

※ディエゴ・フォルラン・・・元ウルグアイ代表のフォワード。2010年のFIFAワールドカップ南アフリカ大会では自国の代表を4位に導き、大会MVPに選出された。

 

今でこそイニエスタ選手やフェルナンド・トーレス選手など、世界的スーパースターがJリーグで活躍していますが、当時はそのような存在が彼しかいなかったんです。だからこそグッズが爆発的に売れましたが、経験による相場も分からなかったので、在庫が足りなくなってしまうことは良くありました。だいぶ悔しい思いをしましたが、かなり勉強になりましたね。

僕から大倉さんへ聞きたいのですが、野球は選手の数もグッズの種類も多いですが、やはり年内に売り切ることに苦労はありますか?

 

オリックス・大倉:主に何年も売り続ける定番商品と、そのシーズンで売り切る商品の2つがあって、加えて野球は限定商品も数多く出てきます。ただ、中には在庫限りで販売を終える予定だったものの、ファンの皆さんの要望で再入荷をする商品もあります。

野球は選手が多く、しかも全選手のグッズを販売しているので、かなりグッズ売り場のスケールが大きくなります。

 

エヴェッサ・森:Bリーグはまだ3年目なので、正直なところ、掴めていないことが多いのが現状です。グッズ担当になって1カ月くらいの時に、Bリーグに所属する各クラブのグッズ担当者が集まる会議が東京で行われたのですが、たまたまそこで講演なさっていたのが大倉さんでした。

当時は右も左も分からない状況で、グッズもすべて業者に委託していたので、社内でも誰かに聞くことができなかったところで大倉さんに突撃で相談して、業者なども紹介していただきました。

 

セレッソのスポーツクラブに知り合いがいた関係で、浅田さんとも繋がることができ、ECサイトを開設するタイミングでご相談させていただいたこともあります。ただ、その時は電話で相談していたので、お会いするのは今回が初めてです(笑)。

bjリーグからBリーグになって、選手の顔ぶれや来場者数も大きく変わったので、何をどれくらい作れば良いのかが全く分からなくて。最終的には在庫がほぼない状態でシーズンが終わってしまい、機会損失していました。選手の活躍ぶりや結婚などでも売り上げに変化が見られましたね。

 

—セレッソでは2016年に柿谷曜一朗選手が結婚して話題を呼びましたが、グッズの売り上げに何か影響はありましたか?

セレッソ・浅田:多少は影響があったかもしれません(笑)。それ以上に、ある選手が予想以上の活躍をしてグッズが足りなくなることは良くあります。

 

エヴェッサ・森:前のチームでは目立った活躍をしていなかったのに、移籍してきて才能が開花することはありますよね。あとはホームゲームが続くと在庫は当然少なくなるため、ファンの皆さんが欲しい商品を確保しきれなかったこともあります。

来週には在庫が届くと説明しても、1週間後には購買欲がなくなってしまう可能性もあるので、欲しい時に買っていただけるようにしなければいけません。ファンの皆さんにアンケートを実施した時には、商品数が少ないという意見もたくさんありました。

 

[後編へ続く]


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