女性目線で視るスポーツ現場。エヴェッサ×セレッソ×オリックス 女性スタッフ対談

舞洲に拠点を置く大阪エヴェッサ、セレッソ大阪、そしてオリックス・バファローズの女性スタッフによる対談企画。

前編では、入社に至るまでの経緯や、それぞれの部署での役割を語っていました。そして後編では、各競技場の改善すべき点と、3チームでのコラボの展望を、女性目線を交えて提案していただきました。

 

女性層を増やす企画が増えてきている

-今までで1番大変だったことを教えてください。

オリックス・水島:去年の開幕戦が7年ぶりに本拠地での開催で、スタッフもこれは何かしないといけないと意気込んでいました。試合は3月末でしたが、前年の11月くらいから企画を練り始めて。当日はドームを真っ暗にして、炎や照明を使った派手な開幕セレモニーを行なって、大成功に終わりました。

7年前を知っているスタッフは少なかったですし、そのような演出も経験がなかったので、前日からドームに泊まってリハーサルをして、大変な作業でしたね。その分、やり終えた後の達成感は大きかったです。

 

エヴェッサ・高橋:入社してすぐにファンクラブ担当を兼任している時があって、シーズン終盤にファンクラブ感謝祭がありました。その時はまだ入ったばかりで、選手との繋がりも少なかったですし、ファンの方が何を求めているのかも分からなかったので、かなり苦労しましたね。

やってきたことの結果が、すごく目に見えて分かりやすい業界ではありますよね。何か企画をしてアリーナが満員になれば、それだけで試合の迫力は増しますし、応援する皆さんの一体感を直に感じることができます。

 

オリックス・水島:自分が考えた企画でファンの方たちに喜んでいただけることはもちろん、その企画に関わる選手やスタッフも楽しんでくれた時は、やりがいを感じられますよね。

 

-今まで考えてきた企画の中で、印象に残っているものを教えてください。

オリックス・水島:今年の7月に「真夏のオリフェス2018~Bs夏の陣 10th anniversary~」では、ドームを真っ暗にして、炎と光を使った演出の中で、BsGirlsのダンスショーを行いました。ファンの皆さんが知っている曲を使ったほうが盛り上がるので、選手の登場曲を使って、会場の一体感が伝わる良い企画になりました。

 

-オリックスでは昨年(2018年)の7月に(※)Bsオリ姫デーという女性向けの企画を行なっていましたが、女性の層を増やす取り組みはどの競技でも行なっているのでしょうか。

※選手と握手をして、筋肉を感じながら写真が撮れる撮影会や、選手の好きな香りで包まれた入場ゲートなどの企画を実施

 

エヴェッサ・高橋:最近は増えてきていますね。チームを好きな方は来ていただけると思いますが、あまり興味がない方にも来ていただくために、女性目線で企画を考えています。

 

セレッソ・天野:私は出てきた企画に対して意見を言う立場ですが、私自身が母親なので、母親目線での意見は良く聞かれます。より多くの子どもたちに試合を見にきていただきたいですし、子どもを連れてくるのは母親の方々ですからね。

 

オリックス・水島:例えば、女性ファンの方が同性の友人を連れてきたとして、その友人をどう楽しませるか、というようなことはよく考えています。

 

女性目線で見る競技場の課題と、3チームのコラボアイデア

-女性目線で見て、自身の所属するチームのスタジアムやアリーナ、球場の改善すべきだと感じる点はありますか?

オリックス・水島:すべての球場を見たわけではないですが、トイレは綺麗に整備されてきていると思います。

 

セレッソ・天野:昔に比べれば、全体的に女性が利用しやすいように配慮されていますが、やはり小さな子どもを連れて行きやすいように、託児所はあったほうが良いと感じます。セレッソでは以前は託児所を設けていたものの、利用者が少ないため廃止となってしまいました。ただ、保護者が安心して試合を楽しむためには必要だと思います。

スクールに関していえば、働く母親が増えてきているので、子どもをスクールに通わせることができない保護者が目立ってきています。そんな方々のためにスクールバスを運行して、学童などにも迎えに行けるようなシステムを作っていきたいと思っています。

 

エヴェッサ・高橋:子どもは付き添いで試合に見に来るというケースも多いですよね。そうなると、1試合を集中して見ることは難しいですし、託児所や遊び場があると快適だとは感じます。

特に私たちのアリーナは、改善すべき点がたくさんあると考えています。オリックスさんの京セラドームは、トイレの個室数が表示されていて、並ぶ上でどこのトイレに個室が多いのかすぐに分かります。

他チームのアリーナを見ていても、参考にすべき点がありますし、バスケットボール界全体で見ても、野球やサッカーから学ぶべき点はあるはずです。だからこそ他の競技を見に行く時は、必ずスタジアムを1周して、参考にするようにしています。

 

-自分のチームの試合以外でも、スタジアムやアリーナ、球場に足を運ぶことは多いのでしょうか。

セレッソ・天野:他競技を見ることはあまりないですが、サッカーは他のスタジアムにも見に行っていますし、一度ドイツにも足を運びました。2部リーグではあったものの、お祭りみたいな雰囲気で、家族全員が楽しめるような環境でしたね。

 

オリックス・水島:プロ野球だと、クラブスタッフが他の球団の試合を見に行くことは良くあります。他競技を見に行くこともありますし、エヴェッサさんのプロジェクションマッピングはすごく面白かったです。

あとは、私たちにはBsGirlsという特別なコンテンツがあるので、他のアーティストのライブを見に行って、照明や映像の使い方を学ぶこともあります。

 

セレッソ・天野:私は他チームの試合よりも、スクールを良く見に行っていますし、コーチ陣の指導の仕方は学んでいます。特に子どもたちを楽しませることは、サッカーのスキルを教えるのと同じくらい大切だと考えているので、どのようにテンションを上げさせるのかを見ています。

それに加えて、保護者への配慮も大切だと思います。周りで見ている保護者が寒くないように、暖房器具を設置しているスクールもありますし、そこまでは真似できなくても、最低限の配慮はできるように参考にしています。また、参考にしているのは必ずしもJクラブのスクールだけではなくて、街クラブも見に行くことはあります。

 

-今後、3チームでどのような動きをしていきたいとお考えでしょうか。

オリックス・水島:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のようにエリアが分かれていて、1箇所で3競技を楽しめるようなテーマパーク感覚のイベントを作れると面白いですね。そこで選手と触れ合うこともできれば、ファンの方々もワクワクすると思います。

 

セレッソ・天野:すでに「(※)キッズスポーツアカデミー舞洲」というイベントはやっているので、今後も子どもたちやその保護者に向けて、舞洲をもっと知っていただけるような取り組みを続けていきたいですね。

※野球、サッカー、バスケットボールの3競技をはじめ、様々な競技を1日で楽しめるスポーツ体験イベント。2018年6月と11月に開催した。

http://maishima.osaka/page/5626

 

エヴェッサ・高橋:3競技を交えて、選手とファンの皆さんでスポーツ対抗戦ができれば面白いと思います。自分のチームの選手が、他の競技をしている姿はなかなか見られないですよね。見ているだけでも楽しいですし、違うチームのユニフォームを着ているのも新鮮味が感じられるはずです。

 

[前編はこちら]


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