3つのプロスポーツチームから舞洲を盛り上げるため、なぜ大阪市は立ち上がったのか?

プロ3チームとの協力に至るまで

とはいいつつも、3チームに話を持っていって納得してもらって、実現に向かうまでのプロセスは、簡単なものではありませんでした。なぜなら3チームそれぞれ、成り立ちが違うから。セレッソさんは1993年からホームタウンとして大阪市とパートナーになってやってきたこともあって、進みは早かったです。エヴェッサさんは、当時はbjリーグでしたから、大阪市もまだホームタウンとして承諾をしていませんでした。だから自分たちの力で、大阪市や池田市の施設を探して使っていたという苦労もなさっていました。ただ、Bリーグに入るということになってから、ホームタウンにチームを根付かせるという意味でも、深く入り込んで頂くようになりましたね。

 

そして、オリックスさんはまた少し話が違います。オリックスさんは神戸から大阪に入ってきた時に行政の力を借りずに独自に地域に融け込もうとしていて、大変苦労されていたんです。大阪市の知らないところで、各学校を回って子どもたちに野球を教えたり、大阪ドームに子どもたちに来てもらって大会をやったり、いろいろな社会貢献活動を既にしていただいていました。自力でそこまでしていらしたオリックスさんと、改めて大阪市が手を組むことにどのようなメリットがあるのかという点で、なかなか悩みましたし、話を進めるのも大変でした。

 

オリックスさんは10年ぐらい前にオリックス・バファローズになってから、ほぼ大阪の施設を使っています。つい最近まで2軍が神戸を使ったりしていましたけれど、そちらも舞洲に移転しました。

 

しかしながら、世間では野球に詳しくない方だとオリックス=大阪というイメージもあまり持っていないように感じます。むしろ大阪には阪神タイガースがある、と思われていたりするんですよね。甲子園球場があるのは兵庫なのですが。オリックスは大阪で唯一の野球チームなのにも関わらず、です。

プロ3チームの化学反応を支える

舞洲という1つの敷地内に3チームの拠点、つまりスタジアムやクラブハウスが集まるというのは貴重なことですし、アピールしていきたいです。あんな小さい鉄道もないところにプロ3チームがあるなんて日本には舞洲だけだ、と言い始めたのは大阪の人ではなくて、関東の人だったのですが、私たちは言われて初めてその価値に気が付きました。

 

実は、東京駅からお台場に行くよりも大阪駅から舞洲に行くほうが近いんです。スポーツの試合会場になるスタジアムといえば、基本的にアクセスしづらいところにあることが多いですよね。舞洲の場合、大阪の中心部から30分位で行けるところに3つのプロチームを見ることができます。行ったことのない人にとっては、舞洲は遠いというイメージはあるかもしれません。バスを使うと聞くとなんとなく遠いような気がしてしまうかもしれない。でも、実際に行ってみればわかると思うのですが、そんなに遠くはないんです。一度来ていただいて「あ、こんな近いんだ」と感じていただければなと思います。

 

3チームの運営側だけでなく、選手間でも交流が生まれればいいなと考えています。競技は違えど、プロスポーツ選手同士なので、スポーツを極めた者同士で関わってみたら、そこから生まれるものが何かあるんじゃないかと思います。今僕らが思っているのは、3チームが集えるバーみたいなもの。こういうものがあれば自然と交流も生まれてくるのかなと。今のままだと放っておいたら、なかなか交流にまで至らないとも思いますので、積極的に手を加えてみたいですね。3チームのファンの交流というのももちろん考えていますが、要するに選手同士の関わりというのは、これまでなかった考えだと思います。そもそも他競技の選手で集まる機会もなかったので。ですから今回、大阪市がそういうところを出していけたら面白いんじゃないかなとも思っています。

 

エヴェッサさんのアリーナ内にある食堂には、セレッソの選手も練習終わりに食べに行くらしいです。セレッソさんのクラブハウス内にもカフェがあったのですが(※)、たまには違うものも食べたいと思ってか、外に出かけたことがあったらしいんですよ。
(※カフェは現在休業中 https://www.cerezo.jp/news/2017-03-23-3/

今後プロジェクトとしてメニューを考案して、お客さんも選手も食べられる、みたいなこともできればいいですね。新しい施設を建てるとなるとまた大変なので、今ある場所を活用していけたらと思います。セレッソさんのカフェでも同じように他チームの選手も使ってもらえるようにしてみたいですね。

<後編に続く>


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