異なる役職の3人が語り合う!エヴェッサ×セレッソ×オリックス 女性スタッフ対談

近年、スポーツ業界には女性が増えてきています。試合会場に目を向けても女性ファンは増えており、ファンの満足度を上げるため、チーム側には“女性目線”が必要不可欠となっています。

今回は、大阪エヴェッサのホームタウン担当の高橋深法さん、セレッソ大阪の普及部・育成部で主任を務める天野明日香さん、そしてオリックス・バファローズのイベント、運営グループのイベント担当を務める水島亜由美さんの3人にお話を伺いました。

 

役職の異なる3人の女性スタッフが、スポーツの現場で感じていることとは?女性ならではの視点を交えて語っていただきました。

 

異なる3つの部署での役割

-はじめに、入社に至るまでの経緯を教えてください。

エヴェッサ・高橋:中学から大学までバスケットボールをしていて、新卒で一度違う企業に入社したのですが、それからすぐにエヴェッサに転職してきました。当時はbjリーグの最終年度で、スポンサー営業やチケット営業、広報など、部署を転々として、4年目の現在はホームタウン担当として活動しています。

もともとバスケットボールの仕事にあまり関心はなかったものの、タイミング良くエヴェッサの求人を見つけて、絶対に入りたいと感じました。エヴェッサの社員は、半分くらいがバスケットボール経験者だと思います。

 

セレッソ・天野:私も求人を見てセレッソに入ったのですが、その求人にはサッカースクールの仕事として書かれていなくて、セレッソだとは知らなかったんです(笑)。もともと幼稚園と保育園の先生の資格を持っていたので、子どもたちと触れ合う仕事をしたいと考えていて応募したら、まさかのサッカークラブだったと。

入社して1年目は、派遣社員としてサッカースクールの事務を務めて、1年半後くらいに正社員として広報を担当しました。広報は3年くらい続けましたが、一度産休をいただいて、その後に現在の部へ異動しています。もうセレッソで10年以上勤めていることになります。

 

オリックス・水島:私は家族が野球一家で、実家が神戸なので、小さい頃からオリックスの試合に足を運んでいました。本格的に野球を好きになったのは中学3年の時です。高校野球に感動して、高校は野球部のマネージャーになりたいと思いました。ただ、中高一貫の女子校に入っていたので、その夢は諦めざるを得ませんでした(笑)。

それでも、大学の野球部でマネージャーになりたいと考えていて、野球部のある龍谷大学に進学しました。龍谷大学には硬式野球部と準硬式野球部があって、硬式野球部はプロも輩出している強豪でした。私は準硬式野球部のほうが、強豪の硬式野球部よりも一勝の重みがあって、泥臭い高校野球に近いと感じていたので、準硬式野球部を選びました。

 

就職活動をしている時には、いろいろな企業の面接を受けましたが、なかなか上手くいきませんでした。その時に自分の本当にやりたいことを探していたら、野球の仕事が思い浮かんできて。それからはチーム、メーカー、メディアなど、野球に関わる様々な企業にアプローチしてみたところ、女子プロ野球リーグ(JWBL)に新卒で入ることができました。

当時はスタッフが少なく、ノウハウもなかったので、営業や広報、ファンクラブ、グッズの仕事など、何でもやっていましたね。試合当日にはMCを務めることもありました。その中でも、イベントを自分たちの手で作って、選手とファンを繋ぐことにやりがいを感じていました。

 

すべての仕事を一通り経験することができましたが、5年目くらいにその経験を生かして違う野球の仕事がしたいと思い、退社して転職先を探し始めました。その時にたまたま、オリックスがレポーターを募集しているという求人を見て、応募してみました。

結果的には落ちてしまいましたが、その後に個別で連絡をいただいて、イベント担当としてオリックスに入社することができました。

 

-それぞれの部署で、具体的にどのようなことを行なっているのでしょうか。

エヴェッサ・高橋:ホームゲームの時に「応援デー」を企画して、市民や区民の皆さまなどを試合に優待することがあります。そのほかにもパートナー企業にチケットを販売して、それを自治体に寄贈していただいたり、チームとして地域イベントに参加したりしています。

エヴェッサは、セレッソさんやオリックスさんに比べると知名度で劣りますし、Bリーグになった今でも、まだ試合を見に来たことがない方が大半だと思います。ただ、競技人口は多いので、伸びしろはあると信じて日々取り組んでいます。

 

セレッソ・天野:広報はクラブスタッフの中では花形と思われがちですが、実は地味な作業が多いんです。私はサッカー経験がないので、まずはサッカーを知るところからスタートして、ルールを学ぶために4級審判の試験も受けました。

あくまで主役は選手なので、彼らを引き立てるために、マネージャーのような役割をしているイメージです。特にサッカースクールを拡大していくための施策や、関西に4チームのJクラブがある中で、セレッソ独自の色を出すことにやりがいを感じましたね。

 

オリックス・水島:主催試合のイベントの企画・運営はすべて担当しますが、スポンサー向けに営業したり、グッズ担当がグッズ購入者向けにイベントしたりと、イベントにも様々な種類があります。野球は試合数が多い分、イベント数も増えてくるので、大変ではありますね。

 

スポーツ業界での女性特有の悩みは…?

-もともとチームに所属している選手の名前などは知っていたのでしょうか。

セレッソ・天野:そもそもサッカーを見たことがなかったですし、スポーツにもあまり関心がなかったので、実は選手の名前は知りませんでした(笑)

 

オリックス・水島:私は女子プロ野球リーグで仕事をしている間に、プロ野球をほとんど見ていなくて、入社する時はあまり知識がありませんでした。面接でオリックスの選手を知っているか聞かれたのですが、当時の選手はあまり知らなかったので、正直に分からないと言ったことを覚えています。

ただ、逆にあまり知識を持っていないことで、相手に変な固定観念を抱かれなくて良かったのかもしれないな、と今となっては思います。

 

-ファンをクラブスタッフにするべきかどうかという問題もありますが、難しい点ではあると思います。

エヴェッサ・高橋:中にはエヴェッサが好きで入社したというスタッフもいますが、チームや競技が好きで入社したスタッフは少ない印象があります。

 

-スポーツ業界にはまだまだ女性が少ないように感じますが、女性ならではの苦悩はありましたか?

エヴェッサ・高橋:正直、あまり感じたことはないですね。

 

セレッソ・天野:広報をしていた時に、男性ばかりなのでロッカールームに入れなかったことくらいですかね。そこでコミュニケーションをちょっととりにくかったくらいかなと。

 

オリックス・水島:逆にオリックスにはBsGirlsというダンス&ボーカルユニットがいて、メンバーは女性しかいないので、男性スタッフは控え室や練習場に入りづらさはあります(笑)。コミュニケーションの伝達スピードでいうと、そこで差は生まれるのかなはと思いますね。

 

[後編へ続く]


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