【特別対談】オリックスとエヴェッサの選手が語る、舞洲の3チームが勝利することの意義
2017年7月25日撮影
オリックス・バファローズの吉田凌選手と大阪エヴェッサの合田怜選手による若手選手対談。前編では両選手の生い立ちの話や舞洲について語って頂いた。後編である今回は、打ち解けていった2人が互いに質問を投げかけあい、よりプライベートな点や試合中のメンタル面などの話が展開される。そして、それぞれが描く舞洲の未来や、プロスポーツ選手を目指す子どもたちに向けての思いについても言及された。
(取材:竹中玲央奈)
取材協力:健康スポーツ食堂「Athlete Table」
うまくいかなくてもシーズンは続く。だからこそ切り替えが大事
–互いに聞いてみたいことはありますか?
合田:試合がある時の準備の仕方を聞きたいです。試合へのルーティーンや試合への合わせ方で自分の中で確立しているものはありますか?
吉田:自分は良いイメージを持っておきたいので、過去にあった良かった時のビデオを見ています。そうしないとやっていけないですから。
合田:良いプレーを見直すんですね。
吉田:そうですね。悪いプレーを見てしまうとネガティブになるので、良いイメージを持つ目的で映像を見ています。合田選手は毎試合、どういう準備をしているんですか?
合田:僕も吉田選手と似ていますよ。うまくいかない時ってあるじゃないですか。その時はどん底なんですけど、シーズンは続く。だからこそ切り替えが大事だと思っているので、良いプレーだけをピックアップした動画を見たり、NBAで好きな選手のプレーを見たりしています。
ワンプレーで、1球で、流れを変えたときにやりがいを感じる
–吉田選手からは聞きたいことはありますか?
吉田:自分がバスケのことよくわかってないので…。そういう意味で言うと、バスケをやっていて何が1番楽しいですか?
合田:バスケは流れが顕著に変わることも多いです。悪い流れが続いた時にワンプレーで良い流れに持っていけるときもあるのですが、その瞬間はアリーナが盛り上がるのを、プレーをしていても感じます。自分のプレーで流れが変わる瞬間にやりがいを感じますね。
吉田:そういう面で言うと、僕は良いバッターを三振に切って取った時ですね。見逃しも良いのですけど、相手のバットを振らせて空振り三振だった時は気持ち良いです。
合田:野球ってピンチが目に見えてわかると思うのですが、それに加えて、1球で勝ち負けが決まることもあると思います。あの時のメンタルってどうなってるんですか?
吉田:マウンドに立つと全員が敵に見えることもあります。良い時は何も考えずに投げられるんですけど、悪い時になると変に周りを見てしまって。360°敵がいるように思えて震えがとまらないです。変に視線を外さないでどこかに気を向けていないと、それこそ1球で決まってしまうので。そういう時は本当に怖いですね。
合田:そこで抑えたら「よっしゃー!」と高揚するのか、ホッとするのかどちらですか?
吉田:ホッとしますね。「終わったー」みたいな。投げている時も「早く終わらないかな」とずっと思っています。そういうときこそバッターが意外と粘ったりするんですよね。
合田:そういった感覚がバスケにはないです。バスケでは5人で分散できるけど、試合が決まる最後の1球を僕みたいな素人から見ると、それはピッチャーの責任に見えるじゃないですか。僕らも最後に大事なシュートを打つ人はいますけど、その1本で決まることってそんなに多くはないので。
–かかるプレッシャーが違いますよね。逆に吉田選手からはバスケのプレーで気になることはありますか?
吉田:あれだけコートの中でほぼずっとダッシュでやっていて激しいプレーもある。そこに怖さはないですか?よく足を捻挫する選手も目にするので。
合田:調子が良い時は誰が掴んでこようとも関係ないと思えますね。ただ、苦しい時は前に行くことも“密集地帯”に行くこと迷いが出ることもあります。
吉田:接触することは野球にはあまりないプレーなので、想像しにくいです。
合田:バスケはずっとボールが動いています。気づいたらボールが反対側にあるとか。パスミスをしたら相手が3Pシュートを決めてしまうとか、ダンクシュートを決めるとか。そういう意味では野球とは違うスピード感があるのかなと。
『優勝するためにはまず準決勝を勝たないといけない』の意味
–ちなみに今までで1番プレッシャーを感じたのっていつですか?
吉田:やっぱり甲子園ですね。3年生の時、夏の甲子園で優勝できたんですけど、その時に準決勝で先発登板をしました。試合前に監督から『優勝するためにはまず準決勝を勝たないといけない』とずっと言われるんですよ。「そんなに言う?」と思いましたね(笑)。優勝目指してやってきていたチームだったのでまず優勝するためには決勝戦に行かないといけないですし、そのために準決勝を勝たないといけないというのはわかっていたのですが…。監督が僕の目をずっと見ながら言ってくるのでかなりプレッシャーがかかりましたね。
–実際マウンドに立ってみて、いかがでしたか?
吉田:その時もお客さんがたくさん入っていたので、変に周りとか見ちゃったりしてプレッシャーもありました。あの時が人生で1番プレッシャーを感じたときですね。
–先程あった話題で言うと、合田選手は「流れを変えてやったぞ!」と思えた試合はいつですか?
合田:昨シーズンの最後のホーム戦ですね。チャンピオンシップ争いをしているとき、出場枠を争っていた京都ハンナリーズと戦ったんですよ。土曜日の第1戦は僕が出場せずに負けました。日曜日の試合は2Q途中から出たのですが、負けている状況で僕が3Pシュートを決めて追いつき、後半はフル出場をしました。結果、逆転勝利を収めたんですけど、完全に「勝ったのは俺のおかげだぞ!前の試合から使ってくれたら…!」と強気に思いました(笑)。
–普通にあの観衆の前に立ってるだけでもすごいのに同じアスリートでもピッチャーはすごいと思いますか?
合田:調子が良い時でも3つアウトを取ったら攻守が変わって、次の準備の時間になりますよね。バスケだったら調子が良くてもずっと続くじゃないですか。あれはしんどいだろうなと思います。1回1回気持ちを変えて行かないといけないと思います。
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